「正しいウサギの頂き方」
 
先日、不意に現れたテスのうさみみ。
どうもあれは、不定期に消えたり現れたりするらしい。
勿論、原因は不明。
俺はギア細胞の暴走だと思ったんだが…。
何度か生やしたりしているうちに、苦痛もなくなったって言うから、違うのかもしれねぇな。
無くても、可愛い。
が、あると微妙に幼くなるようで、またそれも違った愛らしさがあるんだよな。
畜生、こんなに可愛いと、目が離せなくなるじゃねぇか。
一人で置いといたら、何があるか知れたもんじゃねぇ。
特に要注意人物は、アクセルだろ、ディズィーだろ、ジョニーに坊やに・・・。
あ〜、まったく、どいつもこいつも油断がならねぇじゃねぇか。
アクセルはあっちこっちに言いふらすだろうし。
ディズィーだったら、きっとすごく喜んで、一緒に連れてくとか言い出すだろうな。
ジョニー・・・あいつは…絶対油断できねぇな。テスがどうなるか…。
考えたくもねぇぜ。
坊やはきっと不道徳きわまる、とかなんとか言って、俺からテスを引き離そうとするに違いねぇし。
これから暫くは、ここにいるか。ま、金ならあるしな。
…こんなことじゃいけねぇんだが…。
俺はテスが心配なんだよっ。
…それは口実で、一緒にいたいだけなのだと言うことも、俺は十分分かっていた。
「え？　ソル、暫く此処にいるの？」
「あぁ、まぁな・・・」
「ん・・・嬉しいけど、どうして？」
テスの奴、可愛らしく小首を傾げて聞いてきやがる。
ちなみに、今は耳付きだ。
最初のウチは気にしていたが、適応力が高いせいか、最近はあっても殆ど気にならねぇらしい。
実際、害のあるもんじゃねぇしな。
「別に、意味はねぇよ…」
俺はソファーに寝転がった。
こうして一緒にいるだけで、何となく幸せな気分だ。
全く、俺らしくもねぇ。
「うん、そうだね、一緒にいてくれるなら、何でもいい…」
と、テスが俺の膝にちょこんと横座りになった。
二回りは小さくなった体を俺の胸に預けてくる。
ウサギは寂しがりだって聞いたからな。
そのせいか、最近はこうやって甘ったれる事が多い。
無論、俺は全然悪い気はしねぇ。
いや、寧ろ可愛すぎるくらいだ…。
「ねぇ、ソル…、お願いがあるんだけど…」
「ん？　どうした」
テスは俺の顔を見上げ、ちょっと照れたように笑って言った。
「あのね、…明日、お出かけしたいんだけど…」
珍しいこともあるもんだ。テスが、出かけたいなんて。
「あぁ、いいぜ。お前の言うことなら何でも聞いてやるが…いいのか？」
俺が聞いたのは、本当に町中に出てもいいのか、ということだ。
以前のテスなら、絶対に人混みの町に出ようなんて…。
「あ、うぅん、そうじゃなくて。
あのね、お弁当持って、二人でピクニックに行きたいの。ダメ？」
小首を傾げて俺の顔を覗き込む。
長い耳が、不安げにぴくぴくと震えていた。
「俺がダメなんて言う筈ねぇだろうが。
言っただろ、お前の言うことなら何でも聞いてやるってよ」
「本当？　うん、嬉しい」
途端に耳がぴーんとはね上がった。
ったく、ほんとに素直な耳だぜ。
余りの可愛さに、俺はテスを抱き締めた。
小さくてすっぽりで、・・・とても暖かい。
明日が待ち遠しいぜ。

翌日。テスはいつも以上に気合いを入れて弁当を作っていた。
「ね、ソルは何が食べたい？」
「お前」
にこにこと嬉しそうに聞いてくるから、つい本音が…。
「もう！　違うったら。お弁当に何がいいかって聞いてるの」
「お前が作ってくれるもんならなんでもいいぜ。…ま、お前が一番なのはかわらねぇけどな」
「もう、ソルったら、そんなことばっかり言って」
と言いながらバスケットに詰め込んでいるのは、カットステーキにフライドチキン。
テスの奴も、漸く俺の好みが分かってきたみてぇだな。
しかし、横を見るとポテトサラダがどん！と詰まったタッパが…。
…まぁ、しょうがねぇな、こればっかりは…。
と思ったら、フライドポテトも山のように作ってあった。
ま、どうせテスが食うんだろうしな。
「準備完了♪　ね、行こう」
大きなバスケットを手に、テスが微笑んで促す。
「あぁ・・・」
大きな耳がゆらゆらと揺れて、とても可愛い。
どこにも、行かせたくねぇなんて、な…。
俺らしくもねぇ。
俺達は、森の奥へ向かって歩き出した。
「こっち。もう少し行くと、すごく素敵な場所があるんだ」
俺の隣を歩くテスは、俺の肩ぐらいまでしかない。
バスケットを持ってやると、嬉しそうに俺の腕に腕を絡めてくる。
なんだ、その・・・ごく普通の恋人同士、ってのか？
俺は今、どんな顔をしてることか…。
「ほら、着いたよ、ソル」
急に視界が開けたと思ったら、そこには清らかな水を湛えた小さな泉があった。
動物たちの水場だろう。
所々に花が咲き、小鳥の鳴き声が聞こえ、見るからに童話的な雰囲気だった。
「ね、綺麗だろう？　夏はここで水浴びしてるんだ」
・・・何？　水浴び？
てことは、ここで裸になったりしてたのか？
俺がそう聞くと、テスはきょとんとした顔で頷いた。
育ちがいいのか何なのか、そういうところは妙に疎いからな。
「そうだけど。どうせ誰も来ないでしょ？　ソル以外は」
「そうは言ってもなぁ、誰にもこの場所を知られてねぇってんならともかく…」
「大丈夫だよ、ソルは心配性なんだから」
そう言って、テスは用意のシートを広げ始めたが。
…俺が心配性？　そんなのは、お前が可愛いからに決まってんだろうが。
そう言いたいのをぐっと堪えた。
そこまでバカな事は言いたくねぇしな。
「ね、ソル、こっち来て」
準備完了したテスがにこにこと俺を手招きする。
ひらひらと動く白い耳が、上機嫌さを表していた。
あ〜、チクショウ、やっぱり食っちまいたい可愛さだぜ。
・・・やるか。
一秒もかからず、俺は決めた。
先ずはムードを、と俺はテスの隣に腰を下ろした。
「ソル〜〜〜〜♪」
っと、考えるまでもなく、テスの奴、俺の胸にすり寄って来た。
抱きついて、全身を俺に預けてくる。
スカートから覗く白いすらりとした足が、いつも以上に色っぽい。
さて、どうしてやろう・・・。
細い肩を抱き締め、唇を重ねると、積極的に応えてくる。
俺の首に腕を回し、いつもより激しく舌を絡める。
股間に手を伸ばすと、テスの「男」はもう硬くなり始めていた。
俺も人のことは言えねぇけどな。
背筋をゆっくりと撫でてやると、そのまま俺の腰を跨いできた。
このまま騎乗位でもいいが…。
偶には趣向を変えてみるか。
と、テスの手がタンクトップの下に這い込んできた。
どうやらすっかりその気らしい。
いつも以上に積極的なところが、また可愛いじゃねぇか。
それとも、野外だから開放的な気分になってるのか。
どっちでも構わねぇけどよ。
俺はそっとテスから体を離すと、手早く服を脱いだ。
頬を赤くして、テスが目を逸らす。
丁度テスの目の前辺りに、硬くなった俺の倅が突きつけられる形になっていた。
俺はそのまま膝立ちになった。
テスも躊躇いなく服を脱ぐ。
やっぱり、昼間の屋外だから、いつもより大胆だ。
そして四つん這いになると、やや躊躇いながら、ゆっくりと俺を口にした。
ここだけの話だが、テスの口は絶品だ。
この俺が、ありもしない過去に嫉妬するぐらいに。
幹に舌を這わせ、先端を軽く啄む。
時に頬ずりでもしそうになるところが、益々可愛い。
俺は片手でテスの頭を抑え、もう片方の手を伸ばした。
背筋から滑らかな尻を撫でると、はにかむように白い体が震えた。
「もう…ソルったら………」
唾液と先走りに濡れた、淫猥で無垢な顔を上げる。
俺を誘うように半開きになった唇の奥に、赤い舌が覗く。
ぞくりとするほど、セクシーだ。
長い耳が、媚びるように揺れた。
俺はそのまま手を伸ばし、蜜の零れる「女」に指を差し入れた。
「あんっ…！　ダメだよ、ソル…」
「いいから…続けろよ・・・」
わざと音を立てながら指を動かしてやると、切ない声をあげた。
それから、ゆっくりと俺自身を銜えていく。
「んっ…んぅっ……ん・・・は、ぁ・・・」
俺の指に合わせるように、舌の動きが激しくなってくる。
根元を握る手が、急かすように動く。
「あぁ・・・ダメ、ソル…、ん、ふぅ…っん・・・」
息づかいが荒い。
もっとねだるように、腰がいやらしく動き始めている。
既に俺の指は、３本までテスの中に沈めていた。
内部を抉るように動かすと、耳がぴくんとはね上がる。
俺自身の解放が待ちきれないのか、動きが益々激しくなった。
「ソ、ル・・・早くぅ…、ねぇ…もう・・・！」
俺の腰に縋りつかんばかりだ。
ま、ご要望にお応えしてやろうじゃねぇか。
実際、俺もそろそろ限界だ。
「よし、…いいぜ」
そして、俺はテスの中に入れた手を、激しく突き動かした。
同時にテスの頭を押さえ、腰を突き上げる。
「いやぁっ…、イクゥッ…！」
瞬間的に、テスの片手が自分の股間に伸ばされる。
白い耳が、ぴん！と勢い良く直立し、しなしなと萎れる。
一瞬の沈黙。
絶頂の痙攣が指先から伝わってくる。
力無く、テスはその場に蹲った。
・・・俺の放出した精は、タイミングがずれたのか、テスの口元から顎、首筋にかけてべったりと掛かっちまった。
ぴくんぴくんと時折思い出したように耳が揺れている。
呆然と目を閉じ、絶え入らんばかりの風情だな。
「おい・・・テス…」
…そんなに良かったのか。
俺はテスの肩を軽く揺さぶってみた。
「あ・・・ソル・・・。どうしたんだろう、何だか、いつもより感じた…」
うっとりした目で俺を見上げる。
上気した頬が、今の快楽を物語っていた。
良く見れば、下腹部にも、テス自身の精液が飛び散っている。
このままじゃ、服も着られねぇな。
「…少し汚れちまったな。流していくか？」
「あ、うん・・・」
起きあがろうとして、そのままぺたりと座り込んでしまう。
「何だよ、立てねぇのか？」
「うん…力が入らないの…」
赤くなって俯く。可愛い奴だぜ。
「しょうがねぇな…」
俺はテスの細い体を抱き上げた。
「あっ…ソル・・・」
抱き合ったまま、俺達は清らかな泉の水に浸かった。
肌に冷たい水が、火照った体を冷ましてくれる。
考えられないほど穏やかに、時間だけが過ぎていった。

結局そのまま俺達は弁当も食わずに帰って来ちまった。
外でするのも悪くはねぇが、ベッドでゆっくりしたい、とかテスが言うからな。
ちびと猫どもは、思いがけないご馳走に喜んで走り回ってるし。
「ね、またお弁当持ってピクニック行こう」
長い耳をひらひらさせて、テスが振り向いた。
その笑顔のためなら何でもするだろうと思う自分が、俺は嫌ではなかった。
〜Ｅｎｄ〜