「Ｉ　LOVE★猫」

「いつものように」クレイドルとの激しい情事を終えたオレが部屋に戻ってみると。
オレのベッドの上には、見知らぬネコが大きな顔で丸くなってやがった。
ネコっても、人間が飼ってるようなヤツじゃねェ。
それより一回りは確実にデカイ。
しかも、その長い毛並みは淡い金茶色っぽい、不思議な色だ。
「ンだぁ？　テメェ、どっから入ってきやがった」
オレがつまみ上げようとすると。
「フーッ！！」
いっちょまえに威嚇なんてしやがる。
「お？　ヤルかよ。食っちまうゼ〜」
脅し半分に首根っこを掴まえて顔の前に持っていく。
バリ！
オレサマの顔を思いっきりひっかきやがった。
「この…ッ！」
そのネコは身をもがいて逃げると、当然のようにベッドに丸くなりやがる。
はたり、はたり、長い尻尾が左右に揺れる。
「ここは、オレと！クレイドルの！場所だ！！」
チラ、とネコはオレを横目で見ると、鼻で笑った…ように見えた。
しかし、この魔界球アンヌンに、ネコなんていたか？　しかもこんな図々しい。
「ったく…、シトラ辺りが暇つぶしに作りやがったのか？」
ベッドの縁に腰を下ろし、そう独り言を言うと、ネコのヤツは呆れたように起き上がった。
てってって…とオレの膝に乗ると、かふ、と軽く首筋に噛みついた。
何か、身に覚えのある、感覚。
…マサカな、そんなバカな。
ネコはオレの気も知らぬげに、オレの腕に顔をこすりつけている。
…もしかして、甘えてやがンのか？
「…クレイドル？」
「…ニャ」
ネコは一呼吸置いてから、短く鳴いた。今分かったのかと言わんばかりに。
この無愛想、どうやら間違いじゃねェみてェだが。
正しく「キャッツアイ」がじっと一心にオレを見上げていた。
なるほど、よく見れば面影が…あるワケねェよな。
確かにアイツはネコみてェだけどよ。
飽きたのか、クレイドルネコはまたベッドに戻る。
懸命に毛繕いを始めやがった。ナルシーのアイツらしいゼ。
漸く満足したのか、ベッドのド真ん中で丸くなる。
「コラ、クレイドル、そンなトコで寝るンじゃねェよ」
どかそうとすると、爪を立ててしがみついてやがる。
「オレが寝れねェじゃねェか」
俺は知らん、と言った顔でそっぽを向く、その仕種はまるでアイツそのままだった。
「…アァ、そうかよ。そンならいいゼ、勝手にしろよ」
それなら、とワザと突き放した言い方をしてみた。
ぴくり、と長い尻尾が震えた。
小首を傾げてジッとオレを見てやがる。
「イイぜ、オレァリアムんトコでも行って寝てくるからよ」
タタッ、と走ってきて、オレの膝の上に飛び乗る。
伸び上がって、てしてしと肉球でオレの顔を叩く。頬を嘗める。首筋に軽く歯を立てる。
必死でオレに行くなと言ってるみてェだ。
こんなトコがカワイイんだよなァ、コイツはよ。
「ククッ…。ウソだぜ。オレァもうオマエと一緒でなきゃ寝れねェよ」
ネコクレイドルは安心したのか、オレの膝の上で丸くなった。
すぐにすやすやと寝息を立てる。
「ったくよ…、そんなに無防備に寝やがって。オマエが元のカラダだったらとっくに襲っちまってるぜ」
そう言いながら、オレは起こさないように気を配り、ベッドに潜り込んだ。
「オヤスミ、クレイドル。オレの夢を見ろよな」
…ネコって夢見ンのか？
そんなことを思いながら、オレも腕の下にネコを抱いて寝た。

意識が戻ってきたとき、全裸のクレイドルがオレを見下ろしていた。
「ナデュー…オマエは…」
まだオレが寝ていると思ってるのか、小さな声で何か呟いている。
ナニ言ってるかはよく聞こえねェんだけどよ。薄目でオレはそんなクレイドルを見ていた。
「…愛している…お前を…」
ただ、その一言だけがハッキリと聞こえた。
ゆっくりと顔が近づいてきた。
「オレも愛してるゼ、クレイドル」
グッと抱き寄せると、情熱的なキス。
「お、起きていたのか…！」
漸くオレの腕から逃れて、クレイドルが悲鳴を上げた。
「アァ、さっきはお預けくらっちまったしナァ…、楽しもうゼ」
ニヤリ、と笑う。
「ナ、ナデュー…！」
オレは、誰よりも愛しい恋人を体の下に組み伏せた。
愛しさが熱になって、コイツを求めている。
「ナニがどうなってもオレはオマエを離さねェよ、クレイドル…」

〜Ｅｎｄ〜

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何よりも愛しいネコと愛する姫を一緒にしてみただけ。
何故ネコになっていたのか…それはアンヌンの謎（笑）
殆どイミのない話です。
ただ、管理人のネコ好きが爆発しただけとも言う（笑）
しかし、ナデューの一人称ってムズカシイよぉ〜。