そしてその日の夜。
「ただ今帰りましたよ」
がちゃり、とドアを開けた柳生の胸に。
「にゃあ！」
勢い良く飛び込んできたのは、当然妻である仁王。
にゃあ〜にゃあ〜と鳴きながら、柳生の胸にすり寄ってくる。
「仁王くん…？」
「お帰り〜」
柳生の目の前にいる妻が身につけているのは、純白のベビードール。
しかもスケスケで着ている意味など全くないような代物だった。
寝間着としても下着としても、全然役に立っていない。
引き締まった体のラインも、薄く色づいた乳首も、総てその薄布の向こうに透けて見える。
当然下着など付けていないから、下半身も露わであった。
「やはり、良く似合いますね」
満足げに柳生は頷いた。当然彼の見立てだ。
銀の髪と白い肌に白いベビードール。どこまでも、白い。
それは、柳生にとっての天使だった。彼の為だけに存在する、彼の天使。
「なぁ、早う…しよ？」
夫の前に跪き、悪戯に股間をかりかりと引っ掻く。
その姿は、まるっきり「構って欲しいとき」の猫そのものだった。
「いいですよ。さ、咥えて」
「ん・・・」
仁王は殊更ゆっくりと柳生のファスナーを下ろし、馴れた手つきでまだ力無い其れを掴みだした。
ちろりと舌先でその先端を舐める。
「お利口さんですね。そんなに欲しかったんですか」
「ん…俺、自分でもせんかったよ」
「良い子です」
優しく柳生は仁王の髪を撫でた。
可愛い彼の猫。こうして手に入れたからには、決して離しはしない。
「愛していますよ、仁王くん…」
「俺も…」
わざと大きく口を開けて、見せつけるようにゆっくり其れを咥えていく。
その煽情的な姿に、とうとう紳士の最後の理性が弾けとんだ。
「わっ・・・！」
その場に押し倒され、噛みつくようなキスを受け入れる。
「柳生…」
「今夜は寝かせませんからね」
「望むところじゃ」
蜜月−互い以外存在しない世界。
今は、この世界だけが総て・・・

〜Ｅｎｄ〜