「後悔」
−詐欺師の告白−

あ？柳生の事ば聞きたかと？
・・・ま、ええじゃろ。なんね？
一言で言えば、あいつは…変な奴じゃの。
お堅くて、真面目で、優等生で、面白みもない。
俺もそう思っとった。
でも、違う。
アノ手の顔はムッツリじゃち思うやろ？
あいつ、ほんまに女には興味なかと。
なのに、俺とヤる度に上手くなっていきよる。
誰としよんじゃろ？
女と付き合っとーの、見たことなかたい。
そんだけやなか、俺以外に興味はない、とか言いよる。
あいつ、おかしかね。
ま、俺んこと好いとーのは間違いなかよ。
…あ？誰があいつに負けとーとね。
俺があいつに負ける訳なかろうが。
ただ、あげん真似しよるとは、思っとらんかったがよ。
弄んで捨てちゃろ、思うとったに。
…読み違えた訳やなか、ちくっと意外だっただけじゃ。
あいつは底なし沼みたいなもんじゃ。
どこまで行っても終わりがなかよ。
俺んこと呑み込んで、離しよらん。
他ん男と話ばすっと、えらい怒りよるし。
「犯されでもしたらどうするのですか！」なんての。
俺なんかよりずっとつかみ所のない奴っちゃね。
何考えとーのか、分からんけん。
ただ、俺ん事ば独り占めしたかとね。
抱く度に言うけん、離さんち。
…別に嬉しくなんかなかよ。ばってん、俺魅力的やし。
あいつが俺に惚れよるんも当然たい。
それにの、あいつ、テクニシャンやし。
ほんの事、巧かとよ。どげんして練習したんやろのう？
やけん、暫くはこんままでもよかと。
けどやっぱ…あげな男引っかけん方が良かったかも知れんたい…。

…柳生が呼びよるけん、俺行くわ。
きさんも、死にたくなかったら、早う逃げんしゃい。
（以下、記者逃亡のためインタビュー不可）

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詐欺師の告白、でも嘘(笑)
本当は自分の方が惚れてるのに、飽くまでも逆を言い張る詐欺師。
惚れられて仕方なく一緒にいてやってんだ、と言いたいらしい。
一体どちらが「惚れた弱み」なんだか…。
でも、好きになったことを微妙に後悔しつつ、止められない自分。
監禁されても、満足らしいよ(笑)