「確信犯」
−紳士の独白−

え？仁王くんの事を聞きたい？
いいですよ、どうぞ何でも聞いてくれたまえ。
彼は、そうですね、一見分かりにくいかもしれませんが、とても繊細なのです。
それに、頭の回転も速いですね。
臆病、と言ってしまってもいいくらい、本当の自分を隠しています。
勿論、私は例外ですよ。
私には、嘘はつけないですから。
とても、可愛いのです。そんなところも含めて。
私は彼を愛しています。仁王くんがいれば、それでいいのです。
無論、仁王くんも私のことを愛してくれています。
口では様々に言いますがね。あれは照れているだけなのです。
だから放っておけないのですよ。
あれ程に可愛くて魅力的なのですから。
それだけに、私は心配なのです。
あの様に可愛らしくて人目を惹く彼の事ですから、一人で道を歩いていようものなら、
餓えた獣のような男に襲われ、汚されてしまうかもしれません。
私のために存在する彼の、身も心も汚されてしまうなど、私には許せない。
私以外に、彼を愛していい男はいないのですよ。
えぇ、ですから私が一緒にいられる時は傍にいて、幾らでも護ってあげます。
仁王くんの為ならば、どんなことでもしますから。
それだけに、離れていると心配で、何事も手に付かなくなってしまいます。
だから、私がいられない時に、何処にも行かないで居て欲しいと思うのは、論理の必然の帰結ではありませんか？
私の部屋にいて、私の帰りを待って、私に抱かれる。
それだけで、総てが満たされるのですよ。
仁王くんは、私に愛されるために存在しているのですから。
何時でも何処にいても、私は仁王くんを想います。
だから、彼も私のことを想うのが当然でしょう？
何処にも、行かせない。
仁王くんは私のものです。
世界と引き替えにしても、渡さない。
私と仁王くんを引き離すものは、総て破壊します。

ところで、君は何故そんなに仁王くんの事を聞きたがるのですか。
まさか、君も仁王くんに…？
（以下、記者が行方不明のためインタビュー不可）

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ストーカーな紳士を。
既に詐欺師を監禁してますよ、この男は。
恐ろしいくらい自己中な男だな。
でも、うちの紳士はこんなものです。